セブン(1995米国)★★★★☆
ヒトラーやチャーチルと、歴史的人物を描いた映画ばかり観たので、今度は「結末がひどい映画」としてタイトルだけ聞いたこのある「セブン」を観ることに。これは、結末を知ってると楽しみが半減の推理サスペンス映画。
展開としては、最初に7つの大罪が示唆された殺人が発生し、視聴者はその現場のおぞましさに顔をしかめながら、残りの6人がどのように殺されるか、あるいは7人目の殺人を刑事たちが止めることができるかを、期待しながら見ることになる。
この映画の見どころは、刑事コンビであるモーガン・フリーマンとブラッド・ピット。
前に『ショーシャンクの空に』を観ていた僕にとっては、フリーマンはいるだけで安心感がある。演技もいいが、声もいい。ぜひとも「字幕版」で観るべきである。
Wikipediaによると「(モーガン・フリーマン)がコマーシャルに出演しない理由について『自分が宣伝すればみんなが信じて買ってくれるからだ。不要なものを買わせてしまうのはもったいないからね』と答えている」とあるのも冗談ではなく納得してしまうぐらいだ。
そんなフリーマン演じる老刑事に対する若刑事役がブラット・ピット。最初は「若僧がフリーマンさんに盾突くんじゃねえぞ」と思っていたのだが、中盤でのアクションシーンでは大活躍。老刑事一人では、この難事件は解決できないだろう、と視聴時の僕は敬服したものだ。
さて、5人目の殺人のあとで、この映画は予想外の展開になる。
なんと、犯人が自首してくるのだ。
それでも、7人の犠牲者が出るのである。
僕は6人目の犠牲者はわかっていたが、7人目の犠牲者はわからなかった。
だから、最後のシーンは「ひどい」というよりも「お見事!」と拍手をしたくなったぐらいだ。
結末よりも、1人目から5人目までの殺人現場の凄惨さが「ひどい」と思う。
うっかり映画館で見ようものなら、途中で気分が悪くなって抜け出したかもしれない。
実は今回も、途中で耐えられなくなって、一度、食事をとって休憩したぐらいだ。
だからこそ、6人目の犠牲者については確信がついていたのかもしれない。時間配分を考えればわかるし、ブラッド・ピットの若刑事が、某失言に対して、何ら策をとっていなかったのもおかしいと推測できる。
もし、映画館で見ていたら、その映像に圧倒されて、そんな思考的余裕はなかったのかもしれない。
とにかく、終盤の展開は素晴らしい。何もない野原をひたすら走り、たどり着いたのは人気のない場所。
そこから、砂煙の向こうから一台のバンが出てくるとき、視聴者の関心は最大限に高まるといえよう。
その車の中身を見たとき、僕のように6人の犠牲者がわかっていた人は「ああ!」と嘆息する。
そして、フリーマン演じる老刑事とブラッド・ピット演じる青年刑事を前に、高い知能を持つ精神異常者の犯人は語りかけるのだ。
この場面はエキサイティングである。それから、破滅的な結末へと向かう展開は素晴らしかった。
ただし、1人から5人目までの猟奇殺人が酷すぎて、見るのを耐えられなくなった人が多いかもしれない。
見る前にうっかり結末を知ってしまったら、この映画のラストシーンの衝撃は損なわれるだろう。
それに、一度見たら「もうたくさん!」と感じてしまうのも事実だ。
(いかにラストシーンまで観客を引きつける映画を作るかという勉強として鑑賞するのは面白いかもしれないけど、エンターテイメントとしては一度の視聴だけでいい)
この感想だって、映画を見て、一時間以内に書いてまとめている。
僕はどちらかというと物語の余韻を楽しみたいのだが、この映画は「後味の悪さも演出」だとわかりきっているので「展開は見事、以上!」の一言で片付けてしまう。
登場人物たちのサイドストーリーなんて考えたくもないし、考える必要もない。
ということで、僕の「セブン」評価は★4つ。
オススメしたい映画だけど、好きとは言いたくない映画である。